2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Enchiridion 26-6 モンテーニュ その6

ここ※が私の居場所である。私はここにおける私の支配を絶対的なものにしようとつとめる。そしてこの一隅だけは夫婦、親子、市民の共有から引き離そうとつとめる。ここ以外では、私はどこでも口先だけの権威しかもっておらず、その実質も疑わしいものにすぎな…

Enchiridion 26-5 モンテーニュ その5

書斎は円形をなし、私の卓と椅子のあるところだけが直線になっている。私のいるところからぐるっと円くなっているから私を囲んで五段に並んだ本が一目で見渡せる。書斎からは三方に豊かな視野が果てしなく開け、室内には直径十六歩の空間がある。冬はここに…

Kindleが書物でなくなるところ

所用で空路、讃岐国に赴く。移動中の読み物としてKindleしか携えてゆかなかったのだが、これは失敗であった。 未来の書物Kindleといえども、飛行機の中ではただの「電子機器」である。よって、離陸前および離着陸時には使えない。羽田―高松間1時間10分のうち…

イタリア人にKindleを見せると

イタリア語講座の日。週1回なので、春から始めてようやく近過去・・・ で、「きのうの晩何をしたか」を話すことになった。Kindleで読書したことを伝えようとするのだが、ふぇでりか先生になかなか通じない。Kindleを鞄からとり出して見せると、先生驚愕。イ…

Enchiridion 26-4 モンテーニュ その4

書斎は塔の三階にある。一階は私の礼拝堂であり、二階は寝室とその続きの間で、私はここでときどき一人になるために横になる。その上に衣裳部屋がある。これは昔、わが家のもっとも役に立たない部屋であった。私はそこで一生の大部分の日を、また、一日の大…

Enchiridion 26-3 モンテーニュ その3

私は家にいると、割合頻繁に書斎に通う。そしてそこからやすやすと家事を監督する。入口の上にいるから、すぐ下の庭園と家畜小屋と中庭と、わが家のたいていの建物が見おろせる。私はそこでときにはある書物を、ときには別の書物を順序も目的もなくぱらぱら…

Kindle日本語化

自己責任でフォントハックを導入すると、Kindleで日本語表示ができるようになる。ただし青空文庫などの日本語フォントを埋め込んだPDFを読むぶんには不要。「Kindle Software Update Version 2.3に対応したUnicode Font Hack」を参考に、M+IPAフォントに入れ…

Kindle読書入門

読書生活にKindle導入。6インチ画面のほうである。アップルがタブレット端末を近々発表するという噂もあって、そちらも気になるのだけれど、とにかく日本語対応版の発売まで待てない。ペーパーバックとほぼ同じサイズで、 かなり薄い。 岩波文庫との比較。 …

Enchiridion 26-2 モンテーニュ その2

袂に薬をもっている病人は同情に値しない。このきわめて真実な格言を実際に経験し実践するところに私が読書から得ている成果のすべてがある。私は実際には、書物をあまり利用しない。その点では書物を知らない人々とほとんど同じである。私は書物を、守銭奴…

Enchiridion 26-1 モンテーニュ その1

ミシェル・ド・モンテーニュ 1533-1592 書物との交際は、それ※よりもはるかに確実で、はるかにわれわれ自身のものである。これはほかのいろんな長所では初めの二つに劣るけれども、その奉仕が常に不変で手軽だという長所をもっている。そして、私がどこへ行…

Enchiridion 25-6 ロジャー・アスカム その6

※以下は、英語もギリシア語やラテン語と同じくイアンボス調に対応できる、という主張のあとに続く文章。 だが、みな無知と怠惰のために、少しも極めようとしたがらないし、そうしようと努めもしない。アテナイとローマの偉大なる詩人たちは、粗野な大衆のご…

DOMANI・明日展

国立新美術館で、「DOMANI・明日展2009」を見る。文化庁の在外研修制度で海外派遣された芸術家12名のグループ展。高野浩子氏と、浅見貴子氏の作品に惹かれた。高野氏の作品は、思い出・記憶がモチーフ。「思い出についてIV」では、天井近くまで積み上げられ…

Enchiridion 25-5 ロジャー・アスカム その5

※その3・4は抜粋集に関する節からだったが、以下は模倣に関する節からの抜粋。 それ〔模倣〕によって何を習い学ぶにせよ、われらが修辞学教室では、書くにも話すにも、選り抜きの少数者、これと決めた一者に拠るべきである。肖像や絵画の技法を学ぶとしよう…

Enchiridion 25-4 ロジャー・アスカム その4

だが、抜粋集が手紙や何かといった日常的な書きものに巧く活用されているかというと、さにあらず、それはまた大著をものす場合も同じで、必ずしも使われていない。もっとこれを日ごろからよく読み、抜かりなく参照して引くべきだ。というのは今や、一人が筆…

書斎は人なり

最寄の諏訪神社に初詣したのち、購書始めとて松屋浅草の古本まつりに行く。 『父乃書斎』 三省堂、昭和18年 文人・学者ら33名の息子娘による、父の書斎のメモワール。雑誌『書斎』に昭和15年8月号から18年1・2月合併号まで連載された同名随筆をまとめたもの…

琴所探訪

ローカルな話題ふたたび。 伴蒿蹊 『近世畸人伝』 (岩波文庫、東洋文庫、中公クラシックスほか) この江戸時代のオモシロ人物伝に、彦根の隠士・澤村琴所(1686-1739)なる漢学者の伝がある。 彦根隠士維顕、字伯楊、澤村氏、號琴所、通名は宮内。國侯の世…