高祖保生誕110年

生誕110年を記念して、9月13日から12月6日まで岡山市の吉備路文学館で特別展が開催されている。

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牛窓の生家跡に2018年まであった中屋高祖家の私設資料館「なかなか庵」から瀬戸内市立図書館に寄託された遺品・原稿などが展示される。
10月25日と11月14日には、なかなか庵で詩人の顕彰活動をされてきた清須浩光さんの講演がある。


堀口大學によって高祖の代名詞とされた第三詩集『雪』(1942年)には、数種類の異装本がある。資材が不自由な戦中ゆえの事情もあったろうが、高祖のこの詩集への思い入れの深さもうかがわせる。以下に少しまとめたことがある。今回の展示の参考になれば。
uroburo.hatenablog.com


展示や講演のあと、ぜひ牛窓にも足を延ばして詩人の原風景にふれてほしい。
牛窓となかなか庵には2度訪れたことがある。2012年の初回訪問については以下の日記に、2018年2度目の訪問については「ぽかん」8号に書いた。牛窓散策の参考にでもなれば。
uroburo.hatenablog.com
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生誕100年の2010年には、詩人の第二の故郷・彦根彦根市立図書館で特別展示が行われた。
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生誕120年の2030年、あるいは没後80年の2025年には、横浜の神奈川近代文学館でぜひ企画展をしてほしい。横浜は、詩人の勤め先があったゆかりの地。また神奈川近代文学館は生前に刊行された4冊の詩集『希臘十字』『禽のゐる五分間寫生』『雪』『夜のひきあけ』のほか、関連する同時代の詩人の著作や詩誌を豊富に所蔵する。


龜鳴屋より評伝『念ふ鳥 詩人高祖保』(外村彰著、2008年)の別冊『牛窓 詩人高祖保生家』が出た。
前半は、龜鳴屋本ではおなじみの小幡英典さん撮影による詩人生家の写真集。後半は、外村彰さんによる評伝の補遺と、ミャンマーの詩人最期の地探訪記。詩人の眠る地にあったものは…