2015-01-01から1年間の記事一覧

高祖保没後70年に

2015年は、戦後70年にして詩人・高祖保没後70年という、記念すべき年であった。(高祖は1945年1月8日ビルマにて戦病死) 詩人に関する今年の主なイベントをまとめておく。 『高祖保集 詩歌句篇』の出版 書簡集・評伝・随筆集と、出版により詩人の顕彰を続け…

2015年の10冊

古書の10冊 ※すべて詩集。 柏木俊三『栖居』カイエ社、1934年 雲が破れる。人の中に日射しが砂地を作る。人を殺すために。此の世の秘密を護るために。(「冬」より) 荒木二三『蝶』私家版、1934年 ※装画:天野大虹 たうとう探しあてた幸福みたやうなものを…

高祖保の金沢 後篇

昨年8月4日、金沢滞在の最終日、陸上自衛隊金沢駐屯地を見学した。 ここはかつて、陸軍・金沢山砲兵第九聯隊の衛戍地だった。高祖保が、昭和5年12月1日から昭和6年11月30日まで幹部候補生として軍隊生活をおくった地である。 当時の地図によると、隣接して工…

高祖保没後70年記念講演会

戦後70年の今年は、高祖保没後70年でもある。(1945年1月8日ビルマにて戦没) 本日、詩人の生誕地・牛窓で顕彰活動をされている清須浩光さんより記念講演会の案内を頂いた。講師は外村彰先生。清須さんの許可を得たので、以下に転載。 テーマ 高祖保没後70年…

死都ブリュージュ

2014年の正月休暇、2日ほどブリュージュに滞在したのだった。 目的はただ一つ、『死都ブリュージュ』に会うこと。ローデンバックが恰もひとりの人物のように描き、“廃位された王妃”と呼んだブリュージュに。ほとんどひとけのない街路、妖しげな存在感を放つ…

湖畔集より

高祖保「湖畔集」より、“その二”。 湖水の多景島で。―― あの羊腸たる《蟻門渡(ありのとわたり)》をわたりながら、わたしはみごと O CARA MIA を鼻唄でやつてのけた。そのとき中空に、膜翅類(まくしるゐ)のむらがる幻影が、レリイフのやうに生じたのはな…

保忌

湖畔集の中の二行 カッフエと寺塔を軒なみに 北陸から雪をかづいできた貨車が息をつく街 その街、彦根、青春の墳墓の地といていた彦根、に春のひとときを訪れました。うらぶれた古城をとりまく荒廃の哀韻と、晩春の陽にかゞやく湖の悠久のしづけさの中に、湖…