年の徂徠 いま燈火(あかし)は、弱弱しげに、細まる。 乞丐(かたゐ)のやうな十二月が 見窄らしく扉(と)に衝(あた)つて、わが家の角を折れていつた。‥‥‥‥二足(あし)、三足(あし)。 そつと、闇のなかにと降(お)りてゆく、年の背(そびら)。 その…
「夜のからんからんに乾いた空気の、その底で」、高祖保の詩集『雪』を読む。 師走の夜ふけ、独坐する北向きの書斎は、寒い。 『雪』は、そんな場所で読むにふさわしい詩集である。 雪もよひ 寒い。 わかい歯科医のもとへ 一句 「歯石(しせき)はづす 夜の…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。