2013-01-01から1年間の記事一覧

『ぽかん』3号

真治彩さんの雑誌『ぽかん』3号が出た。前号から約2年ぶり。 「本そのものより読書という行為をテーマに」のコンセプトが気に入って、1号、2号と愛読していた。外村彰氏の連載「多喜さん漫筆」を読んで、井上多喜三郎ゆかりの京都「れんこんや」や八日市「AB…

高祖の郷

もう半年も前のことになる。 昨年11月、福岡へ出張したついでに、ある地を訪ねた。 それは糸島市の、 「高祖」というところ。「たかす」と読む。 牛窓「なかなか庵」清須浩光氏の調査によると、全国に「高祖」の地名は少なくとも5か所あるそうだ。福岡県糸島…

古書をまとえば

In the Libraryという香水がある。 甘く年古りた、 「かうばしい本のにほひ」(尾形亀之助「九月の詩」)。 由緒書によると、調香師のChristopher Brosius氏はそうとう、 Whenever I read, the start of the journey is always opening the book and breathi…

山下町の夜

神奈川近代文学館で古い雑誌をいくつか繰ったあと、夕暮れの港町を散策する。 小高い丘から横浜公園のほうへ。かつてその近くに、高祖保の勤め先「宮部末高合名会社」があった。そこはいま灰色の立体駐車場になっているのだが、詩人ゆかりの地であることに変…

保忌

彦根は雪のよく降る処ときく。一月八日、惨たるビルマの病床に、せめて一片の雪をその最後の唇に散らして上げたかつた。私もまた雪が大好きの性、ふるとも舞ひ上がるともはて知らぬ空に、みぢんに散りばふ雪の中に、いえ、その雪こそあなたと……。 津軽照子 …