2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

高祖保と左川ちか

『左川ちか全詩集 新版』 森開社、2010年 錆びない言葉で切りとられたその詩の世界は、「いつまでもをはることはないだらう」。 新版になって、詩と散文が数篇増補されたのは嬉しい。が、旧版にあった18篇からなる追悼録が省かれてしまったのは、惜しい気が…

高祖保と高村光太郎

高村光太郎 『をぢさんの詩』 太陽出版社、1943年 高祖保が編纂から装幀までを手がけている。序文の最後に、 この詩集の出版にあたつては一方ならず詩人高祖保さんのお世話になつた事を感謝してゐる。 との謝辞がある。彼が同書に関わった経緯や編纂中の様子…

保忌

1月8日は、詩人・高祖保の祥月命日である。 午後、電車を乗り継いで墓参。彼の墓は、東京府中の多磨霊園にある。 1944年7月に召集を受けた詩人は、同年秋ビルマへ派遣された。陸軍第15師団(通称「祭」部隊)の野砲兵第21連隊に配属、1945年のこの日に戦病死…

高祖保の雪

2010年の大晦日、帰省先の彦根は朝から雪だった。 降りしきるそれは、高祖保が詠った粉雪。この冬、彦根ではそれまで雪がちらつくことはあっても、積もるほど降ったことはなかったと聞く。雪の詩人生誕100年最後の日がこのように雪で飾られたのは、天の計ら…