Enchiridion 25-5 ロジャー・アスカム その5

※その3・4は抜粋集に関する節からだったが、以下は模倣に関する節からの抜粋。

それ〔模倣〕によって何を習い学ぶにせよ、われらが修辞学教室では、書くにも話すにも、選り抜きの少数者、これと決めた一者に拠るべきである。肖像や絵画の技法を学ぶとしよう。賢明な者なら、手足しか巧く描けないような画工は選ばない。男であれ女であれ子供であれ、身体全体がきちんと描けるのはもちろんのこと、三者をその特性に応じ正しい構図で本当らしく、また、男の威厳、女の麗しさ、幼子の可愛らしさそれぞれにふさわしい自然な色使いで、巧みに描き分けられる者につくだろう。ならばなおのこと、同じくわれらが教室でも求めるべきである。どんな事柄でも常に分かりやすく教えられ、いきいきと楽しませられる者、そしてその言葉を耳にし読む生徒を巧みな語り口でみな虜にできる、かような一者を。

『教師論』 第2巻


Alexander Ireland (ed.), The Book-Lover's Enchiridion, 5th ed., London, Simpkin, Marshall & Co., 1888, pp.22-23.