回文へのこだわり 和蛸の変部位か

日曜日に行ったアトリエ空中線10周年記念展でもとめた回文詩集。
未生響 『回文戯詩 カイゼル製菓』(ビブリオ・アンテナ5) 空中線書局、2000年

福田尚代氏の回文とはまた違った、硬質な響きが印象的。未生氏自身による造本が凝っていて、金ベタ白ヌキの本文は、裏写りしているかのように、あるいは重なる頁の文字もうっすら写っているかのように刷られている。両面印刷のアコーディオン製本で、永遠に頁を繰り続けることもできなくはない。タイトル等は透明の筒箱に刷ってあるのだから、本文からは表紙も目次も奥付も省いてしまえば、もっと面白い本になったのではなかろうか。

ちなみに未生響氏には、『詩的遊戯術』(書肆啓祐堂、2004年)という言語遊戯論もある。