Enchiridion 27 ジョン・フローリオ

ジョン・フローリオ 1553-1625

書物の名誉について

 名聞ひとたび立ちしのち
 然るべきこと、そは記憶
 次いで載籍、後人のため
 名士の名前、その徳行

 他の誉れなど藻屑のごとく
 本分欠けば直ぐと消え
 いかな偉功も忘却の果て
 在りし日のこと誰か覚えん

 記憶乏しき像に墓
 貴顕のために建つるいしぶみ
 みな閉ざされし部屋にありせば
 人目に触れることもなし
 書物であれば聡き眼に
 生き様映し、あまねく墓所も知らしめん


フローリオ英訳『モンテーニュのエセー』第2版(1613年)序詩


Alexander Ireland (ed.), The Book-Lover's Enchiridion, 5th ed., London, Simpkin, Marshall & Co., 1888, pp.27-28.