Enchiridion 18 ドメニコ・マンチーニ

ドメニコ・マンチーニ 1434以前-1494x1514

空なるは 農夫の種まき
刈り入れ時を 逸すれば。
空なるは 大将の陣立て
刃交えず 勝利もせねば。
誉むべきは 徳ある行い
知言も時を得 益多く。
なれど今 直き知言 吐けれども
無為の輩が 誉授かる。
学識深き 賢者殿 重ねた齢
教授に病で 身動きとれぬ。
誉また 哲学者にも くれておる
その知恵活くるは 後の世なれど。
書斎にて 馬齢重ねて 空の空なり
お書物書きに 終わりは見えず
幽霊相手に 脳みそへとへと
彼らの知識 充つることなし 益もなし。
昼夜分たず 不安におののき
優しき読者を 欺き教えず 怒らせる。
書物なら 四ある極みの どれかに導く
四とはすなわち 知恵に敬神 喜び、効用。
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されば求めよ 恩恵もたらす これらの極みを
見つけたならば 胸にしまいて 錠前おろせ。
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空なるは 書斎で過ごす 無為な時
蔵する知識を 活かしもせずに。
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神は与える 理性を知識を 汝にも
この恩寵を 如何に活かすか それをこそ問え。


『四徳の書』 パリ、1484
Translated by Sir John Denham. Chalmers' English Poets, vol.vii, p.255


Alexander Ireland (ed.), The Book-Lover's Enchiridion, 5th ed., London, Simpkin, Marshall & Co., 1888, pp.11-12.

※ドメニコ・マンチーニ(Domenico Mancini)は、ローマ生まれの年代記作者・ラテン語学者・詩人。