本の未来、eureka!?

月曜は仕事休み。
午後から歩いて穴八幡の早稲田青空古本祭に行く・・・が、雨天中止なり。去年までテント張ってやってなかったか?ほんとに青空市になってしもた。閑散とした境内でビニールシートだけが青々と映えていた。
気を取り直して神保町へ。
内藤吐天『雨滴聲』(沖積舎、昭和62年新装覆刻)
洲之内徹セザンヌの塗り残し 気まぐれ美術館』(新潮社、昭和58年)
『現代の詩人1 吉岡実』(中央公論社、昭和59年。鑑賞・高橋睦郎
森田たま『随筆ふるさとの味』(ミリオン・ブックス、昭和31年)
購入。内藤吐天は日夏耿之介門下の龍膽寺旻なり。
古書会館で、「書肆ユリイカの本」展を見る。300冊のユリイカ本が一堂に会す。最近出た『書肆ユリイカの本』(青土社)の著者・田中栞氏のコレクションである。いやはや、これはちょっとした美術展だ。入口で「書肆ユリイカ出版総目録 第2版」なるものをもらったけど、ぜひ図録を出してほしい。何十年たっても古びない本、ずっと慈しみたくなる本というのはどういうものか、広く天下に知らしめるべきだ。
貧しいわが書斎にもユリイカ本が3冊だけある。原口統三の『二十歳のエチュード』『死人覚え書』、そして『吉岡實詩集』。原口の2冊は、ハタチの記念に田村書店で購入したもの。
6時半から、その田村書店のご主人・奥平晃一氏と田中栞氏のトークショーを聞く。年齢層高し。書肆ユリイカ、そしてユリイカ本をめぐって、愛書家の相好だけがくずれるトークを2時間堪能する。ユリイカ本の頂点、安東次男詩・駒井哲郎画『からんどりえ』(昭和35年、限定37部)がガラスケースで展示される。田村で買った人からの借り物で、売価160万円也。デジカメ持ってこなかったことを後悔する。未綴じの詩画集なのだが、田中氏の本によると、国会図書館納本分は無残にも糸かがりで綴じられてしまっているという・・・
『考える人』秋号の特集で、小林弘人氏は言う。「紙メディアは、将来、今の銀塩カメラのような存在になっていくかもしれません。デジタルカメラ隆盛のいま、違いが分かるマニアが求める貴重品、嗜好品になっているのと同じようなことが起きるのではないでしょうか。」(53頁) 同感。新刊書店の本棚なんかを見てよく思うのだが、本という形で保存したり、新たに出版したりする必要性・必然性のないコンテンツは、もうデジタルデータだけあればいいのではないか。そういう性格のものは、パソコンやキンドルみたいな端末で読むことになっても案外支障ないだろう。そして、伊達得夫のような仕事ができる出版人だけが紙の本を作ればいい。魅力的ならば、値段が高くなったとしても、ほしい人は必ず買うだろう。
要するに、ユリイカ本は、紙の本のあるべき未来の姿なんじゃないかってこと。

書肆ユリイカの本

書肆ユリイカの本

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

考える人 2009年 11月号 [雑誌]

考える人 2009年 11月号 [雑誌]