「図書館はコンテンツプロバイダたれ」

午後休みを取り、アレクサンドリア図書館長イスマイル・セラゲルディン氏の講演会「パピルスからPDFへ:よみがえるアレクサンドリア図書館」を聞きに国会図書館へ。
伝説的な古代アレクサンドリア図書館の興亡からその現代における復興、デジタルライブラリーの取組みまでを1時間弱で紹介。
講演後は、国会図書館の長尾真館長との対談。休憩時間に参加者から集めた質問用紙をもとに、長尾氏が少し突っ込んだことを聞いていく。
古代アレクサンドリア図書館がムーセイオンや植物園を併設していたように、今の図書館も3博物館、7研究施設、アートギャラリー、プラネタリウム、会議室などをもつ巨大複合施設である。オーケストラやテレビ番組ももっている。長尾氏はしきりに「知の殿堂」と賞賛していた。
このところ特に力を入れているのが、デジタルライブラリーへの取組み。12万冊をデジタル化し、オンラインで提供している。そのうち5%は著作権が生きていて、出版社と個別に交渉してアグリーメントをとっている。デジタル化は外注せず、すべて自前でやっているとのこと。アメリカ議会図書館ユネスコが中心となって始めたWorld Digital Libraryにも参加協力している。2,000人のスタッフのうち240人がエンジニアで、2,800台のコンピュータを使っている。メンテナンス大変そう。ちなみにエンジニアの給料は月300ドル。民間よりはちょっと安いんだとか。
対談では私が提出した質問も話題にしてくれた。視覚障害者への対応について。アレクサンドリア図書館では、テキストの音声化も行っている。OCRアラビア語に向いておらず、合成音声より人声のほうが好まれるため、ボランティアに朗読してもらっているという。長尾氏が日本にはDAISY図書というのがあって、と言ったけどリアクションがなかったので、障害者対応はあんまり進んでないのかなと思った。
今日のセラゲルディン氏の発言の中で最も印象に残ったのは、これからの図書館の役割はコンテンツプロバイダ、知のドメイン作りだというもの。
終了後職場に戻ったのだが、わが図書館がいつにも増して小さく見えた。