嫁入り道具いまむかし
「堀口先生から…(中略)…ぼくが若いころに伺つた話の一つに、フランスでは良家の令嬢の結婚準備の中に欠くべからざることには、製本術の習得があるそうだ。結婚してから、夫君の愛読書や蔵本を家庭で立派に製本して書棚に納めるのが、妻の役目という。革装、布装、クロース装というように内容に応じて造本するのだ。だから、嫁入り道具の中には必らず製本用具材料が含まれている。」(岩佐東一郎『書痴半代記』ウェッジ文庫、34頁)
「背かがりをする時に使う「かがり台」が、嫁入道具のひとつだった時代もあったと聞くが、それも今では昔話である。」(栃折久美子『モロッコ革の本』ちくま文庫、83頁)
いま、吾妻氏の嫁入り道具で最も活躍しているのは、タイガーのホットプレートである。
- 作者: 岩佐東一郎
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