ネットの青空翔ける「念ふ鳥」
3月16日、高祖保の第一詩集『希臘十字』(1933年)が青空文庫で公開された。
作品リスト:http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1774.html
第三詩集『雪』(1942年)、未刊詩集『独楽』も校了しているので、これらも遠からず公開されるだろう。底本はいずれも現代詩文庫。
追記:『雪』と『独楽』は6月7日に同時公開された。(2014.6.9)
三詩集の入力・校正を担当されたのは、青空文庫設立呼びかけ人の八巻美恵氏と浜野智氏。最良の製作者に恵まれた。その詩を人類の共有財産にしてくださった両氏に深く感謝。
PCで、スマホで、タブレットで、Kindleで、高祖保の詩にいつでもアクセスできるようになった。
先日は龜鳴屋から『高祖保随筆集 庭柯のうぐひす』が刊行されたし、高祖文学に魅せられる人が増えることを願う。
ちなみに、『希臘十字』の原本はこんな姿をしている。
昨年の夏、琵琶湖畔で繙いた体験を『ぽかん』3号に書いた。
インターネットの青空に放たれた「念ふ鳥」は、これからデジタルの翼で多くの人のもとへ翔けてゆくだろう。だが、ゆかりの地、著者の直接手がけた書物という器からしか得られないものが、確かにある。ICTがいかに発展を遂げようとも、古本者のはしくれとしてはそのことも忘れずに伝えてゆきたい。