本の街にて

神田古本まつりで買ったもの。

  • 詩の朗読研究会編 『詩の朗読講座 草原文庫2』 草原書房、1947年


「朗読詩集」の部に高祖保の「孟春」一篇が収録されている。本書は外村彰氏の「高祖保作品年表(一)」に記載がないので、ちょっとした発見。300円也。


函付1500円也。大観堂といえば尾崎作品ではおなじみの古本屋だが、店主・北原義太郎が健在の頃は出版も手がけていて、尾崎はここから本書と『南の旅』(1942年)を出してもらっている。
1948年に北原が急逝したのち大観堂は新刊書店に転向、いまも早稲田古本屋街にある。


カバ欠500円也。尾崎と大観堂との因縁について詳しい「大観堂の話」収録。
早稲田高等学院時代から古本道楽に凝りはじめた尾崎は当初、大観堂の上客だった。が、大学卒業後たちまち貧乏に陥り、尾崎は大観堂から返済のあてのない借金を繰り返すようになる。店主が不在の折には、その細君を泣かせて金をせびる。最後には芥川賞でもらった金時計をかたに借りている。しかもそれは壊れていた。その借りっぷりの無茶苦茶さから、北原義太郎は大観堂にくる尾崎と坂口安吾檀一雄をまとめて「三大豪傑」と呼んだそうな。

  • 外村繁 『日本の土』 大観堂、1943年


なんだかこの日は大観堂づいていた。1500円也。


400円也。点字を両面印刷した1枚の反故紙が表紙に使われている。
見返しの点字をちょっとカナにしてみよう。

・・・ 11ニチニワ ニュージョージア セイホクガンニ ヨーリクチューノ テキヲ コーゲキシ 40キカラ ナル テキキグンニ トツニューシ 24キヲ ゲキツイシ コノカガヤク センカガ 13ニチ ダイホンエイカラ ハッピョーサレタ ナオ コノセントーデ ワガホー □□□〔3マス潰れて読めず〕ン 3キヲ ダシタ。  コノイキヲミヨ アツサノタメニ セイサンヲ ゲンジテワ ショクバノ ハジダト ケイヒンカンノ カワサキ コージョーガイデワ ジューギョーインガ イッセイニ オボンノ 「キ〔用紙カットのため数マス欠落〕 ヘンジョー」 「キューカ ケンノー」ノ アイコトバ ・・・

裏表紙の見返しには、「センジ ハイダン」(戦時俳壇)なる見出しがあり、「フルサトヤ マツリモナクテ ウラナスビ」の投句と選評が続く。
当時の点字新聞(点字毎日か点字読売)の一葉であろうか。