iPadでマルチメディアDAISY図書が読めること

iPhoneアプリVOD(Voice of DAISY)。iPad購入日に導入したものの一つである。

これは、DAISY 2.02規格のマルチメディアDAISY図書(音声+フルテキスト)と音声DAISY図書(音声+NCC)をiPhone/iPod touchで再生するためのアプリ。DAISY(Digital Accessible Information System)とは、主に視覚障害者が利用しているデジタル録音図書の形式である(詳しくは、こちら)。

当然iPadでもいけるだろうと思って購入したのだが、データを転送するFTPサーバのIPアドレスが正しく表示されないという不具合があり、使えないでいた。
それが1.1へのバージョンアップで解消されたというので、さっそく試してみた(使い方は、こちら)。

iPad互換だが最適化はされていない。2倍表示にすると文字はぼやけてしまう。せっかくの9.7インチ画面がフルに活かせないのは残念。

下は、マルチメディアDAISY図書『三匹の子ぶた』を再生しているところ。このコンテンツはこちらから無料で入手。

テキストとその朗読音声が同期しており、再生箇所が黄色でハイライトされる。このような形式は、通常の図書を読むのが困難なLD(学習障害)やディスレクシア(読み書き障害)の人たちに有効だと言われている。
VODにはまだまだ改善の余地はあるが、iPadのような端末でマルチメディアDAISY図書が読めることの意義は大きい。この形態・形式が教科書や教材に採用されれば、読み書きに困難を抱えた障害児・者の学習環境が大きく改善するかもしれないからだ。
こうした期待は、先頃公開された総務省文部科学省経済産業省による「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の報告案でも表明されている(49頁)。これが文科省の「学校教育の情報化に関する懇談会」や、来月設立される「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」でも共通認識となれば、案外夢物語ではなくなるかもしれない。