Art of Memory

明治の記憶術書を読む その2

望月誠 『記憶拡充論』 思誠堂、明治12年7月 本文63頁、定価25銭也。本書は明治期初の記憶術書と思われる。(明治記憶術ライブラリー参照) 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーからPDFで落として読む。 著者について 望月誠については、石塚純一「「…

忘却術が語る明治記憶術ブーム

宮武外骨によれば、記憶術の流行に対抗して彼が『忘却法』を公にすると、それを真似た類書が出たという。真偽のほどは定かでないが、確認できた明治期の忘却術に関する著作を年代順に並べてみると、なるほど外骨の書が嚆矢となっているように思われる。 宮武…

明治記憶術ブームの記憶

その1 「団団珍聞」第1030号、明治28年9月28日付 ○記臆屋 礫水道人 一軒記臆屋の店が出来るト向ふにも出来隣にも出来一軒置た隣又その隣ト出店が先から先へと出来るのみか記憶の荷を背負て競り売りするものさへ有て記憶術の 声は耳に絶えぬが是も矢張り記憶…

明治記憶術ライブラリー

明治の記憶術ブームを取り上げた『記憶術のススメ―近代日本と立身出世』(岩井洋、青弓社、1997年)では、明治期に刊行された記憶術書として24点があげられていたが、ハウツー色の強いものや百科全書の記事等まで含めるともう少し数が増える。以下、刊行順に…

明治の記憶術書を読む その1

山岸利策 編 『ワデル先生秘訣 健胃記臆増進 薬剤法秘書』(第10版) 山岸利策 発行、明治28年7月 古書価3,000円也。高いんだか安いんだかよくわからない代物。文庫本ほどのサイズ。初版は明治25年6月。国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで、28年4…