ロシア構成主義のまなざしを言葉で

ミュージアム・アクセス・グループMARの鑑賞ツアーに参加する。視覚障害者と見える人が言葉で一緒に美術鑑賞しようという試み。参加者19人、うち視覚障害者7人。視覚障害者ひとりにつき見える人だいたい2人という組み合わせでグループ分けがなされる。
今回見たのは、「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展(@東京都庭園美術館)。ロシア構成主義の代表的作家アレクサンドル・ロトチェンコ(1891-1956)とその妻ワルワーラ・ステパーノワ(1894-1958)が1910年代から30年代半ばまでに手がけた作品を展示している。
総計170点が、絵画・グラフィック・空間構成・建築・デザイン・演劇・印刷物(本、ポスター、広告)・写真と分類されているのだが、われわれのグループは絵画とグラフィック作品をようやく見終わったところで時間切れとなってしまった。一緒になった視覚障害のかたは、朝日カルチャーセンターで亀山郁夫氏の講座を受講したことがあるそうで、ロシア・アヴァンギャルドに対する関心が高い。もう一人の見えるかたは、大学でアートマネジメントを教えておられるという。そんなグループだったので、1点1点を見る時間がどうしても長くなってしまった。こういう、

ひとりで来ていたら適当にスルーしていたかもしれない作品もなおざりにせず、ああだこうだ言いながら鑑賞するのである。全部はまわれなかったが、じっくり鑑賞できてよかったとの感想で一致する。ひとりで見る時とは異なる視点と密度で美術体験できるのが、このツアーのいいところである。
庭園の新緑もすばらしい。