Kindle Stoic Edition

第4世代となる新Kindleエントリーモデル

平凡社ライブラリーとほぼ同じサイズである。

厚さは岩波文庫ボルヘス『創造者』とほぼ同じ。持つともっと薄く感じる。

安い(送料込みで$122.98)代わりに、非タッチパネルで、TTS・音声出力・スピーカー・3G対応なし、ストレージ実質1.25G、従来通りメモリカードスロットもなしと、Kindle Storeで買った電子書籍を黙々と読むことに特化されている。

いまどきかなりストイックな端末である。iPhoneiPadAndroid端末など持っておれば、Amazon電子書籍はもちろん、それ以外のストアのものも、青空文庫も自炊本もさくさく読めるのに、さらにこれを購入して持ち歩く必要性などないのでは、と思われる向きも多かろう。

しかし世の中にはいろんなニーズがあって、用途によってはiPhoneiPadなどより優れた端末として機能する場合がある。日本のある読書子などは、理想の読書端末だといたく感動し、iPhoneと一緒に毎日持ち歩いている。

彼曰く、自炊した現代詩文庫『高祖保詩集』のPDFをこれまでiPhoneiPadに入れて読んでいたのだが、リーダビリティの面で不満が募っていた。2段組みのその詩集を読むのに、iPhoneの画面では小さすぎ、iPadでは重くてかさばった。
そこで新Kindleに入れてみたところ、とても具合が良かったのだという。

原本より文字は小さくなるが、彼の年齢で苦になるほどではなく、快適に読める。それに加えてこの筐体の小ささ薄さ、軽さ。実をいうと彼は、去年購入したKindle 3(現在はKindle Keyboardと改称)にも『高祖保詩集』を入れて使っていたのだが、その本としては微妙なサイズがネックになり、常に携帯するまでにはいたらなかったという。だが薄手の文庫本のような新Kindleならば、常時鞄に入れておいてもかさばらない。そして、どこででもさりげなく取り出して衆目を集めずに読むことができるのだそうな。
購入から1週間後、彼は突如として新Kindleから『高祖保詩集』以外のファイルをすべて削除し、これをKindle Stoic Editionと勝手に名付けた。Kindle Storeの洋書や青空文庫や普通の自炊本などはほかでも読める。これからは『高祖保詩集』専用端末として使っていくつもりだ、と誰にともなく宣言している。