Enchiridion 6 ホラティウス

ホラティウス B.C.65-8

一再ならず十度読んでなお楽しいものもあるだろう。※
「詩論」365


ああ、我が農園よ。何時になることか。お前をこの目で眺める日は。何時になることか。先人の書巻に沈潜し、惰眠を貪り、無為に身を任せて、憂いなき人生を楽しむことのできる日は。
「諷刺詩」2


Alexander Ireland (ed.), The Book-Lover's Enchiridion, 5th ed., London, Simpkin, Marshall & Co., 1888, p.4.

※この句は、有名な比喩「詩は絵のごとく Ut pictura poesis」ではじまる以下の一節に属する。

詩は絵と同じ。あるものは近づけば近づくほど人を引きつけ、あるものは離れれば離れるほど人の心をとらえる。あるものは薄暗い所を好み、あるものは光のもとで見られることを望んで、批評家の鋭い眼力も恐れない。一度しかよろこびをあたえないものもあれば、十回見てもよろこびをあたえるものもあるだろう。
「詩論」361-365 岡道男訳(『アリストテレース詩学 ホラーティウス詩論』岩波文庫、1997年、251頁)