彦根の名刹

近江国彦根に帰省中なので、ローカルな話題でも。
臨済宗名刹龍潭寺

井伊直政が同国佐和山城主に封じられたのを機に、遠江国浜松の龍潭寺から分寺された井伊家の菩提寺。庭園で名高い。禅宗大学寮として発展し、特に「園頭科」はわが国造園学の発祥とされ、当寺で学んだ僧が全国の禅寺の庭園を手がけたという。

方丈南庭、枯山水「ふだらくの庭」。昊天禅師の作庭。

平安時代の僧・慧萼(えがく)が唐からの帰途、上海沖舟山列島の島に補陀落山(ふだらくさん)寺を建てて観音菩薩を安置した、という故事にちなんで、その霊場を表している。白砂は大海、砂紋はさざ波、垣根は手前が水平線、後方がたなびく雲。中央の島が補陀落山で、その真ん中の立石は観音菩薩の立姿。島右手の船形の石は慧萼の船。俗世から浄土への渡し舟でもある。

書院東庭 「鶴亀蓬莱庭園」。昊天禅師と小堀遠州の合作。佐和山の峰を借景とした池泉庭。

築山は仏が勢揃いする浄土の世界。池左の岩が亀島、右の槙木が鶴を表す。亀島脇の「龍門瀑」は、わが国最高の枯れ滝とか。

書院北庭の露地は、学僧の修行庭園。

蕉門十哲の一人で、狩野派の絵画にも秀でた森川許六(きょりく)の襖絵も見ごたえあり。

元禄年間からは「だるま寺」としても人々の信仰を集める。