保忌


高祖保高祖保、そうだつたかそうだつたかと、あの人は元気でいつた。高祖のバカヤロウと僕は口のなかでつぶやいた。何んでビルマなんかで死にやがつたと、お前もここへ来て一パイ吞めと、それで急に彦根の城下町が好きになつた。
彦根城址にて高祖保を憶う〉


安藤真澄「詩人のノート」より
『コルボウ詩集 一九五三年版』 (コルボウ詩話会事務所、1953年)所収